院長ブログ

今なら間に合う:HPVワクチン・キャッチアップ接種

公開日:
監修:めいほう睡眠めまいクリニック院長 中山明峰

 今年の耳鼻咽喉科頭頸部外科学会総会で産婦人科医・宋美玄先生の講演を聞き、身震いしました。HPV(ヒトパピローマウィルス)は子宮頸がんと咽頭がんを引き起こすウィルスだと判明し、予防法が開発、日本では2010年から予防接種を開始。ところが女性たちは次々と副作用を訴え、接種が中止。世界各国で同じ予防接種するも、なぜ日本だけでこのような現象が起きたか、謎でした。

 急にHPVワクチン接種が再開されたことを、多くのメディアで見受けると思います。この再開の裏方に尽力された宋先生はSNSの世界でも著名な先生であります。

 宋先生と仲間はHPVワクチン接種副作用の原因調査に奔走、すると心ない数人が根拠ないデマをSNSに流したことが発端と気づかれました。社会全体がまだSNSとの付き合い方が疎い時期、あっという間にデマは若い女性たちに拡散。すると接種者が次々と副作用を訴え、やがて国家が補填を中止。私も数名後遺症と称してめまいで受診された患者を診察しましたが、とても接種との関連性を見いだせるものではありませんでした。多くの副作用は自覚症状のみである故、後遺症として認定するには難しく、何よりもそのような症状は、海外では報告例が少ないのが事実です。以前より、宋先生は若いお嬢様たちが誤った性知識を抱かないよう、積極的に著書やSNSで性問題を取り上げ、その経験を基に自ら身を挺し、「私は自分の娘にHPVワクチン接種を打ちました」!というショッキングなアナウンスをなされました。

 先生の活動は国に声が届き、厚生労働省グループの一員として参加、今回のHPVワクチン・キャッチアップ接種に大きな貢献を残しました。

 同じ開業医として、先生のご講演を聴いて大変恥ずかしい思いをしました。SNSの世界に飛び込むということは、恐ろしいことです。言葉ひとつ間違えたら身を滅ぼします。宋先生は自己犠牲よりも、「見知らぬ子どもたちを犠牲にしない!」、その強い思いがなければできなかったことだと思います。先生は講演で言及しませんでしたが、どれだけアンチから嫌がらせを受けたか、想像するだけでゾッとします。

「お子さまに接種を受けさせるか、否か」を悩まれる保護者の皆さま:われわれはこの間、コロナでも同じミスを冒しています。コロナの場合、体力のある若者なら無接種で罹患しても、自己免疫で回復することができます。

 「HPVの場合、相手は癌です!」いざ罹患したら、取り返しのつかない大きなリスクを背負うこととなります。

 万が一、あなたの可愛いお嬢様が思わぬことになった場合、あなたは生涯悔やんでも悔やみきれないことになりませんか?
 HPVワクチン・キャッチアップ接種には適正年齢と期限があります。お早めに!
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/hpv_catch-up-vaccination.html


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