院長ブログ

<若者よ、好きなだけ寝なさい>中日新聞2023.5.30.メディカルトーク

公開日:
監修:めいほう睡眠めまいクリニック院長 中山明峰

チューインガム販売量が激減したとのニュースで、その一因が「情報通信のおかげで暇つぶしが不必要となったから」と分析されていて驚いた。場所を選ばずスマートフォンを触るようになった今、空白時間はぜいたくなものに感じる。
クリニックには、朝起きられず学校や会社に行けない若者が大勢やってくる。多くの因子を含んだ生活環境背景があるのだが、殊に進学校の生徒が痛々しい。
人類に平等なのは一日二十四時間しか持てないこと。遠方の自宅から往復三時間かけて通学し、他校より多い宿題をこなすとしたら、睡眠を削るしかない。彼らに空白時間はなく、時間の負債を重ねることになるのだ。日本の若者の睡眠時間が世界で最低レベルな理由がここに垣間見える。
睡眠医学では睡眠不足という言葉は使わない。脳と体に傷がつくため「睡眠負債」と表現し、問題視するからだ。初診の若者に「好きなだけ寝なさい」と言うと、大半がほっとした表情になる。一方で、後ろでは、同伴の親が青ざめていることも多い。遠方の学校に通うことを希望したのは、若者本人だろうか。彼らに睡眠時間を削らせることは、虐待にも等しいと思う。
これは家庭内だけの問題ではない。こんな文化をつくったのが子どもたちではないのは確かだ。大人たちは空白時間をつくり、未来のため、真剣に考えなくてはならない。


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